岐阜県北部にある高山市は、「飛騨高山」観光地として年間400万人の観光客が訪れています。城下町や商人町が今も残っており、江戸時代から続く街並みは人気の散策スポットとなっています。今回はその「古い町並み」にある温泉宿のリフォームプロジェクトにスライディングウォールを採用して頂きました。本陣平野屋とは、江戸時代において、大坂の豪商が任命された御用金両替商のことを指すそうです。旅館の佇まいを損なうことのないよう、注意しながら作業を行いました。
このプロジェクトのきっかけは、設計事務所さんから引戸のスライディングウォールを探しているという依頼をいただいたことでした。スライディングウォールはドアタイプが主流ですが、ドアというのは一定の空間がないと開閉しづらい特徴があります。なので伝統ある建築物は、ドアに不向きな場合があります。引戸のスライディングウォールは、この施工現場に最適な解決策といえます。

 

施工したのは大きな食堂です。大人数の食事客がいらっしゃると少人数のお客様を断るしかなく、大部屋を細かく区切りたいというご要望でした。
大きなスペースがあるにもかかわらず、昼食の団体客を諦めていらっしゃったようで、切実なお悩みでした。
特にこだわった点は、壁に合わせて巾木、腰見切りをつけたことです。写真をご覧ください。スライディングウォールの位置が一体化しており、周囲のデザインと調和しています。周りの意匠に合わせられるので「取って付けた感じ」のない仕上がりはオーダー建具ならではですね。絨毯が敷いてある空間でも施工できることも何気にポイントです。

最も苦労した点は、戸袋に収納する際、特殊なレール制作となったことです。特に高さも重量もあるパネルであったので制作に日数を要しました。ご要望を実現するために最大限努力させていただきました。

 

本陣平野屋別館 スライディングウォール

本陣平野屋別館 スライディングウォール(全て)


建具仕様

施設名 本陣平野屋別館
商品名 スライディングウォール
施設分類 旅館
所在地 岐阜県
素材 フラッシュ戸
寸法 W950×H2,500×D40 28ヵ所